読んだら忘れない読書術とは?
本を読んで、新しい知識を得た。発見があった。視野が広がった。
でも1か月も経つと、その本の内容はほとんど覚えていない。
はたして読書した意味はあったのだろうか。
こんな悩みを解決すべく、樺沢紫苑著「読書脳」(サンマーク出版2023年発行)を読みました。
読んでも忘れる読書は無意味
本書の冒頭で、読んでも忘れているならその読書は時間の無駄であり「自己満足読書」にすぎない、と書かれており、さっそく私の悩みは切り捨てられました。
そんな著者が考える意味のある読書とは、「自己成長につながる読書」。
というのも、読書を通じて知識のインプットはできますが、インプットしただけでいずれ忘れてしまっては、そのインプットは無駄だったということになります。
インプットした価値が発揮されるのは、アウトプットする場面です。
インプットした知識を活用することでアウトプットの質が上がり、そのアウトプットが何かしらの結果に結びつけば、そのインプットには意味があったと言えます。
読書をする前はできなかったことが、読書をした後はできるようになった。
読書をすることで新たな考え方を知り、その後の行動が変わった。
このように、インプットした知識を活用したアウトプットをすることで、自分の行動が変化し、そして結果も変わっていきます。
その積み重ねが、自己成長ということです。
長期記憶するための条件
では、どうすれば本からインプットした知識を長期に覚えておけるのでしょうか。
時間をかけてじっくり丁寧に、という読み方は、残念ながら記憶に残らないそうです。
そこで、精神科医の著者が脳科学の知見から考える、忘れないための条件は「何度も利用されたか」「心が動いたか」です。
脳は毎日膨大な量の情報が流れ込んでくるので、全てを記憶しようとするとパンクしてしまいます。なので、入力された情報のほとんどを忘れるようにできています。
そんな忘れっぽい特性を持つ脳が、忘れないようにするための条件が前述の2点です。
何度も利用される情報
脳に流れ込んだ膨大な情報は、海馬という部位で1-2週間だけ仮保存されるそうです。
その仮保存期間中に2度3度と引き出された情報は、脳が重要な情報であると判断し、海馬から側頭葉という部位に移動させます。
そして側頭葉こそ、長期間にわたって情報を保存しておける部位なのです。
本書で著者は側頭葉のことを「記憶の金庫」と表現しています。
海馬の情報をいかに側頭葉に移せるかが、長期記憶のキーポイントのようです。
心が動いた出来事
脳内で分泌される物質のうち、記憶力アップの効果が確認されているものがあるそうで、本書ではアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、エンドルフィン、オキシトシンが挙げられています。
それぞれの物質が分泌される際の感情は、以下のような関係になっているそうです。
- アドレナリンとノルアドレナリン:不安や恐怖
- ドーパミン:ワクワクする高揚感
- エンドルフィン:喜びや幸福感
- オキシトシン:愛情やスキンシップ
これらの脳内物質をいかに分泌させられるかが、長期記憶のキーポイントのようです。
読んだら忘れない読書術
長期記憶するための条件は分かりました。
では、それを踏まえて具体的にどういう読書をすればよいのでしょうか。
そこで著者が提案する2つの読書術が「アウトプット読書術」「スキマ時間読書術」です。
アウトプット読書術
読書でインプットした知識が海馬に仮保存されている期間中に、その知識を何度もアウトプットで利用することで長期記憶になります。
具体的に言うと「インプットから7-10日以内に3-4回のアウトプット」が効果的であることが、脳科学の研究で分かっているそうです。
私たちの実生活に落とし込むとしたら、「1週間以内に3回アウトプットする」というルールだと分かりやすいですね。
では、具体的にどういうアウトプット方法があるのでしょうか。
書き込む
- 学びを得た部分や、気に入った一節にマーカーペンを引く。
- 自分の学びや疑問点を、本の余白にボールペンでメモする。
このような、いわゆる本を汚しながら読む方法が、インプットと同時に行えるアウトプット方法として紹介されています。
「マーカーペンを引くのがアウトプットになるのか?」と疑問に思いましたが、そんな疑問も本書の中で回答されています。
字を読む作業、ペンで線を引く作業、文字を書き込む作業、はそれぞれ脳の別の領域で行われており、脳の複数領域を使うほど脳は活性化し、記憶に残りやすくなるとのこと。
ちなみに、脳の他領域を使う効果的な例として、音読も紹介されています。
私は図書館で本を借りて読む派なので、マーカーペンやボールペンの書き込みは難しいです。
代わりに細い付箋を用意して、マーカーペンを引くであろう場所に付箋を貼ることでアウトプットしようと思います。
本書で記載されてはいませんが、字を読む作業と付箋を貼る作業は、おそらく脳の別領域だと思います。
紹介する
- 本の内容を紹介する。
- 一つの本を複数の切り口で紹介する。
本の内容を紹介するときには、自然と内容を思い出したり、内容を自分なりに整理することになります。この思い出しや整理がアウトプットになるということです。
したがって、単純に「面白かった」「ためになった」という紹介ではアウトプットの効果が得られません。
また、複数の切り口で紹介することを意識すると、本を深く読み込めるとのことです。
複数の切り口の例として、掃除機を紹介するのであれば「吸引力が強い」「狭い場所も掃除できる」「駆動時間が長い」「電気代が安い」などが考えられます。
同じように一つの本を複数の切り口から紹介するためには、複数の視点で本を読むことになります。これが本を深く読み込むことにつながるそうです。
私は家族との雑談がてら、本の紹介に付き合ってもらおうと思います。
シェアする
- 読書後の感想をSNSでシェアする
- 本に登場する名言をSNSでシェアする
- 書評やレビューを書いて、SNSやブログでシェアする
感想を書くときにも、自然と本の内容を思い出すことになるためアウトプットの効果が得られます。
ただし、自分しか見ないメモ帳ではなく、他人に見られるSNSに感想を書くことが推奨されています。
他人に見られる以上、雑な感想は書けません。本の内容を思い出すことに緊張感が伴うため、よりアウトプットの効果が高くなります。
感想を書くのが苦手な人向けには代替手段として名言を投稿する方法が、逆にもっと掘り下げたい場合は書評やレビューを書く方法が紹介されています。
私はせっかく本ブログがあるので、書評を書いてブログに載せていきます。
今ちょうど読んでいただいているこのページも、書評作成によるアウトプットの一環として書いています。
本書を読むまで書評を書くなんてやったことはありませんでしたが、せっかくアウトプット読書術が勧められているので、最初のアウトプットとしてこの書評を書いています。
スキマ時間読書術
ただインプットするのではなく、脳内物質を分泌させながらインプットした方が長期記憶になります。
まとまった時間ではなくスキマ時間に読書した方が、脳内物質の分泌にとっては有利な点が多いとのこと。
では、具体的にどういう時間に読むべきなのでしょうか。
制限時間までのスキマ時間
頑張ればギリギリ達成できるほどよい難易度の課題に取り組む際、脳内ではドーパミンが分泌されます。
例えば電車に乗っている場合、目的の駅に着くまでが制限時間となるので、「駅に着くまでにこの章を読む」のような目標を決めて読書することで、ドーパミンによる記憶力向上が期待できます。
私が日常的に出会う制限時間は、電車に乗っている時、外食でご飯が出てくるのを待っている時、待ち合わせした人を待っている時、などでしょうか。
いずれもスマホを触っていることが多いスキマ時間なので、スマホを読書に置き換えることにします。
15分のスキマ時間
60分の読書1回より、15分の読書4回の方が、記憶に残りやすいです。
これは心理学で「初頭努力」「終末努力」と呼ばれ、なにか作業に取り組む場合は初めと終わりに集中力が高くなるそうです。
つまり、初めと終わりが複数回あるほうが、集中している時間が長いということです。
また、脳科学の観点では、集中力が維持できる時間のブロックは15分です。
高い集中力が維持できる限界は15分、普通の集中力が維持できる限界は45分。逆に90分以上は人間の集中力の限界を超えてしまっている。
このように心理学と脳科学の見地から、15分のスキマ時間は集中した読書ができ、記憶力向上が期待できます。
寝る前のスキマ時間
寝る前にインプットしたことは記憶に残りやすいです。
睡眠中は新しいインプットがないので「記憶の衝突」が起こらず、頭の中の整理が進むことが理由だと本書で述べられています。
また、寝る前の読書(電子書籍やエキサイティングな内容の本は除く)は心と体をリラックスさせ、睡眠に入りやすくなる効果も確認されています。
寝る前の読書は記憶と睡眠の一石二鳥の効果があるようです。
私は寝る前の暇つぶしでスマホをいじって寝つきにくくなり、そしてまたスマホをいじるという悪循環は、これまで幾度となく経験してきました。
寝る前のスマホも読書に置き換えることにします。
今日から変える読書習慣
読んだら忘れない読書にするために、以下の行動を習慣化できるよう取り組みます。
- 学びを得た部分や気に入った一節に付箋を貼る
- 本の内容を家族に紹介する
- 本の書評を作成し本ブログに載せる
- スマホを触っているスキマ時間を読書に置き換える